Scientific Reports誌に白鳥先生の論文が掲載されました。
Title:HokUS-10 scoring system predicts the treatment outcome for sinusoidal obstruction syndrome after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation
肝類洞閉塞症候群(SOS)は同種造血幹細胞移植後の重篤な合併症の一つです。当院は、超音波センターの西田睦先生(現 経営戦略部 准教授)を中心に、SOSを早期に診断するための体外式超音波検査を用いたHokUS-10スコアリングシステムを開発し、その有用性を報告してきましたが、治療反応性や予後との関連性は解明されていませんでした。
今回我々は、当科と札幌北楡病院で同種造血幹細胞移植施行後にSOSを発症した42症例を対象に、HokUS-10スコアと予後との関連性を後方視的に解析しました。まず治療前後のHokUS-10の総スコアを比較すると、治療後の総スコアのみがSOS関連死亡と有意な相関を示しました。更にArea under curveを用いた検討により、治療後のスコア:8ポイントが予後予測に有用なカットオフ値として同定されました。また個々のスコアの検討では、治療後における腹水、および門脈血流関連スコア(門脈血流速度、血流方向)が、SOS関連死亡のリスク因子であることが分かりました。
本研究により、SOSに対する治療期間中に腹部超音波検査を行うことで、治療反応性や予後を予測できる可能性が示唆されました。今後はより多数例の検討を基にした予後予測システムの確立が期待されます。
Pubmed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37833418/
論文の詳細はこちら:https://www.nature.com/articles/s41598-023-43806-3